検索結果に表示されているのに、サイトには一度も訪問されない──。
そんな「ゼロクリック検索」が年々増えています。Googleの検索結果ページ(SERP)上で答えが完結してしまうため、ユーザーはどこもクリックせずに離脱してしまう現象です。
SimilarwebやSparkToroなどの分析によると、Google検索全体のうち60%以上がゼロクリックで終わっているという報告もあります[1]。
つまり、従来のように「検索結果に表示されれば、ある程度はクリックされるはず」という前提は崩れつつあります。
この記事では、ゼロクリック検索の定義から増加の背景、ビジネスへの影響、そしてマーケ担当者が今すぐ取るべき具体策までを整理して解説します。
ゼロクリック検索とは?
ゼロクリック検索(Zero-Click Search)とは、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力し、検索結果ページを閲覧したものの、どの検索結果もクリックしないまま離脱する検索のことを指します[2]。
典型的なパターンは次のようなものです。
- 検索結果の一番上に表示された「強調スニペット(Featured Snippet)」を読むだけで満足する
- ナレッジパネルや天気、為替、スポーツスコアなどのウィジェット表示で答えが分かる
- マップ(ローカルパック)に表示された店舗情報だけを見て、そのままナビアプリに移動する
いずれの場合も、ユーザーは検索行動の目的を達成している一方で、ウェブサイト側には一切トラフィックが発生していない、という点がポイントです。
なぜゼロクリック検索が増えているのか
理由1:Googleの回答機能が高機能になりすぎた
ゼロクリック検索が増えた最大の理由は、Googleの検索結果ページそのものが「答えを返すインターフェース」に進化したことです。
- 強調スニペット(テキストの抜粋)
- クイックアンサー(計算、単位換算、知識カードなど)
- ナレッジパネル、ローカルパック(地図)
- 天気、ニュース、株価、スポーツスコア
こうした機能はユーザーにとっては便利ですが、その分だけ「クリックせずに完結する検索」が増えます。
理由2:AI要約(AI Overviewsなど)の登場
近年では、Googleがテスト・展開しているAI要約(AI Overviews)や、他社のAI検索機能によって、検索キーワードに対する要約回答がページ上部に表示されるケースも増えています。
AIが複数のサイトから情報をまとめて提示するため、ユーザーは「とりあえずの答え」をそこで得てしまうことが多くなります。
この動きは、ゼロクリック検索の比率をさらに押し上げる要因になっていると考えられています[1]。
理由3:モバイル中心の検索行動
スマートフォンの普及により、多くのユーザーが片手・短時間・ながら見で検索するようになりました。
モバイルの小さな画面では、検索結果上部の情報だけで判断される比率が高くなります。
結果として、
- 上部のスニペットだけ読む
- マップ結果をタップしてそのまま経路検索へ
- 電話番号ボタンを押して終了
といった行動が増え、クリックして情報を深掘りするユーザー比率は下がっていきます。
ゼロクリック検索がビジネスに与える影響
影響1:オーガニックトラフィックの減少
ゼロクリック検索が増えると、従来であればクリックに繋がっていたはずのクエリからのセッションが減少します。
検索結果には表示されているのに、アクセス解析上は「流入ゼロ」のように見えるケースもあります。
特に、
- 用語定義・簡単な事実確認(例:日付、計算、単位換算)
- ナビゲーション系クエリ(ブランド名+場所など)
では、ゼロクリック化が進みやすく、トラフィック指標だけを見ると「SEOの成果が出ていない」と判断しがちです。
影響2:CV機会の見えない損失
ゼロクリック検索によって、
- 本来ならLPや記事に流入していたはずのユーザーが減る
- 会員登録・資料請求・問い合わせといったコンバージョン機会も減る
という損失が発生します。
しかもその損失はアクセス解析上では明確に見えにくく、「なんとなく成果が落ちている」という形で現れることも多いのが厄介な点です。
影響3:ブランド認知のチャンスが検索結果内に移動
ポジティブな側面もあります。ゼロクリックであっても、
- 強調スニペットに自社コンテンツが引用されている
- ナレッジパネルに自社ブランドが表示される
- ローカルパックに自社店舗が出ている
といったケースでは、クリックは発生しなくてもブランド認知や信頼形成に貢献している可能性があります。
つまり、ゼロクリック検索の時代には、
- 「トラフィック」だけでなく「検索結果画面上のプレゼンス」も成果として評価する
という視点が重要になってきます。
マーケ担当者が取るべき具体的な対策
対策1:リッチリザルトを取りに行く(奪われる側から、出る側へ)
ゼロクリックの主な原因となっているスニペットやリッチリザルトは、裏を返せば「自社が表示されればブランド露出になる場所」でもあります。
具体的には、
- FAQ構造化データ、HowTo、レシピ、製品スキーマなどの構造化データマークアップ
- 見出し構造を整えた分かりやすいQ&A形式コンテンツ
- ユーザーの検索意図に即した簡潔で具体的な回答文
を用意することで、自社が強調スニペットとして表示される可能性が高まります。
クリックが発生しない場合でも、検索結果画面上での信頼感・専門性アピールにつながります。
対策2:指名検索(ブランド検索)を増やす
ゼロクリックの影響を受けにくいのが、ブランド名を含む指名検索です。
- 「サービス名+評判」「ブランド名+料金」など
ユーザーが明確に自社を探している状態であれば、ゼロクリックだけで完結する可能性は相対的に下がります。
そのため、
- コンテンツマーケティングやSNSでブランド想起を高める
- オフラインも含めた広告施策と連動させる
といった取り組みで、「指名検索を増やすこと」自体をKPIに置く企業も増えています。
対策3:検索以外のチャネルも前提にした導線設計
ゼロクリック検索の時代には、
- SEOだけで全てを賄おうとしない
- メール・SNS・広告・コミュニティ・チャットなど複数チャネルからの再訪・継続接触を設計する
ことが重要です。
たとえば、
- 記事からメルマガやLINE登録への導線を強化する
- SNSでのフォローやコミュニティ参加を促す
- リターゲティング広告で再接触する
といった施策により、「一度の検索に依存しない関係性」を築いていくことができます。
ゼロクリック時代に追うべきKPI
ゼロクリック検索が当たり前になってくると、見るべき数字も少し変わってきます。
主なKPI例は次の通りです。
- 指名検索(ブランド名+α)の検索数と流入数
- 検索結果ページでのスニペット表示率
- ローカルパックやナレッジパネルでのインプレッション
- 検索経由以外(SNS・メール・ダイレクトなど)の流入増減
これらを、従来の「オーガニックセッション数」や「検索順位」と一緒に見ることで、ゼロクリックの影響を踏まえた全体像が見えやすくなります。
まとめ:ゼロクリックは「敵」ではなく前提条件になる
ゼロクリック検索の増加は、確かにオーガニック流入数の観点ではネガティブに見えます。
しかし、ユーザー視点で見れば、「より早く・少ない手順で答えにたどり着けるようになった」ということでもあります。
マーケ担当者にとって大事なのは、
- ゼロクリックを「敵」と捉えるのではなく、前提条件として受け入れること
- そのうえで、検索結果ページ上でのプレゼンスとブランド価値を高めること
- 検索に依存しない複数チャネルの関係構築を進めること
です。
もしまだ、「検索=クリック数」「SEO=流入数」とだけ見ているなら、考え方をアップデートするタイミングかもしれません。
ゼロクリックの時代にフィットした戦略をとることで、むしろ競合より一歩先に出ることができます。
参考・出典
- Similarweb:「Zero-Click Searches」など、Google検索におけるゼロクリック比率に関する分析レポート
- Wikipedia:「Zero-click result」ゼロクリック結果の概念整理


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